「重右衛門の最後」田山花袋
2006-01-13


「蒲団」より5年前の明治35年の作品。信州の閉鎖的な田舎で起こる放火事件とそれに起因する殺人事件。自分はツルゲーネフが描いた農夫と同じような人物に田舎で遭遇した、というプロローグにはじまる前半、この物語の語り部である私が、その田舎の出身者二人と東京で知り合い、5年後に田舎を訪ねるところからが本筋となるが、この人たちはあくまで傍観者で、事件に積極的にかかわるわけではない。犯人が放火にいたる前にそれをひきとめる何らかのしくみが足りないのであろう。先日起きた下関駅の放火犯のことを思い出した。
[BOOK]

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